
年明けの1月2日に、友人に教えられて黒磯にある「SHOZO」へ出かけた。
今回は日帰りだからローカル線でのんびりとはいかず、一足飛びの移動だ。
JR東北新幹線で東京駅から那須塩原駅まで、そこからJR東北線で黒磯駅へ向かう。
那須塩原駅でローカル線に乗り換える時、雪が降りはじめた。初雪。
黒磯駅で降りて、地図を頼りにSHOZOを探す。
正月のせいか、閑散としている町を駅西口からとぼとぼと歩きはじめた。
よくみると、あちこちに蔵が残っている。

1988年に古いアパートの2階ではじまった「1988 CAFE SHOZO」を筆頭に、
今では駅界隈に7軒もの店を構えているらしい。そのほとんどが西通りに集中している。
まず一番最初に見えたのが「ROOMS」。真向かいに「04 STORE」がある。
しかし早く着きすぎた。開店まで2時間もあるので、人が居ないのをいいことに
好き勝手に写真を撮ったあと、一旦駅周辺に戻って腹ごしらえをすることにした。
鼻の利く友人の声で、目抜き通りにある「生そば冨陽(ふよう)」という店に入る。
友人は柚木切と盛りそばを、私は温そばを注文した。
盛りそばは、緑色をした新そばと熟成そばの2色で、少し分けてもらったら、
風味があって美味しかった。手打ちの細い麺も好みだし、コシも程よい。
変わりそばなど、とにかく品数が多く、季節ごとにメニューに趣向を凝らしているようだった。
そばをすすっている間も、店の奥から絶えずそばを挽く音が聞こえていて、妙に耳に残った。
時計が開店時間の13時を回ったところで、そば屋をあとにして「ROOMS」へ。
ROOMSで取り扱うのは、一部雑貨も含めたアンティーク&中古家具が中心。
どれもこれも趣味がよく、ディスプレイも気が利いている。広い店舗なだけに相当数の家具があった。
東京でいうと、店の面積・商品のラインナップともに、目黒の「BROCANTE(ブロカント)」や
「FOUND(ファウンド)」、渋谷の「Orné de Feuilles(オルネドフォイユ)」に近く、
さらに家具がみっちりと詰め込まれているイメージ。お値段も東京価格だ。
あとは屋根裏風の中2階を利用した、小さな子ども部屋がかわいらしいので、
初めて行く人は見逃さないでほしい。屋根裏といえば、建物の2階部分にかかっている
「手づくり田舎とうふ/田代食品」の看板も愛嬌があって好きだった。
昔のものをそのまま残したのだろうか。水がきれいな土地柄、ここの豆腐も
おいしかったのかもしれない……などと、ちらり思う。
その後、後向かいの洋品店「04 STORE」、貸スペース「SHOZO・SPACE」、
生活雑貨用品店「JAPON」、最後に「1988 CAFE SHOZO」の順で、それぞれの店を見て回った。

04 STOREは、ブランド品のほかに古着もあって、価格も良心的だった気がする。
SHOZO・SPACEはお休み。JAPONは、基本的にメーカー品を卸し売りしているようだったが、
現行品のほかに3,4年前のカタログで見た商品や、古物も少しだけ扱っていた。
驚いたのは、各店の開店時間とともに、ひとっこひとりいなかった街に突然人が溢れたこと。
あとでタクシーの運転手さんに聞いた話だと、お客のほとんどは私たちのような県外から来た人間で、
夏なんてとんでもない量の人が訪れるらしい。カフェの元祖といわれるだけあって、えらい人気だ。
1988 CAFE SHOZOも、私たちが着いた頃には、1階の販売スペースも2階のカフェも
大変な賑わいだった。カフェでケーキとスコーンのセットに、単品で飲み物を注文した。
カボチャのプディング・スコーン・カフェオレ、どれも満足した。美味しい。
でも一番感心したのはサービスがしっかりしていること。最初は席数が多いにしても、
スタッフの人数が多過ぎるのではないかと、いらぬ心配をしてしまったけど、そのぶん
給仕のタイミングは絶妙だし、せかせかしていないので、お客に変な気を遣わせない。
要は理想だけでなく、現実にちゃんと店が回っているという点が素晴らしいと思った。

ひと通り店を見て回ってから、せっかくなら景色のいい場所まで足を伸ばそうという話になって
近くの「南ヶ丘牧場」に行くことにした。近くといっても、那須塩原と黒磯の中間あたりで
黒磯からは、かなり距離があるので、雪の時期は車でないと移動が難しい。
今回は割り切って(?)タクシーに乗った。山に近づくほど雪が深まっていく。
数日前に大雪が降ったらしく、タクシーの運転手さんも山に行くのは気が重そうだった。
おもしろかったのが「俺あ、今から山の上の方でひと仕事あるんだけど、サボりたいから、
よかったら牧場の前でメーター止めて待ってるよ」という、運転手さんの申し出。
駅に戻れば、まだお客がいそうな気もするけど、それよりか遠距離を走る方が割がいいのか、
ほんとうに山道を走るのが億劫なのか。ひと仕事って何? ちゃんと聞けばよかった。
牧場では馬とロバをしつこく観察して、コーヒーで体を温めながらカメラ談義に移った。
最初は湖か高原にでも写真を撮りに行く予定だったのが、ある意味、東京を散歩する時よりも
都会的な散歩になった。最後にたくさんの雪を見られたのが何より。ロバも寒がっていたかどうか。
大きな地図で見る
1988CAFE SHOZO
〒325-0045 栃木県那須塩原市高砂町6-6
TEL/FAX.0287-63-9833(13:00〜21:00/第1金曜定休)
http://www.shozo.co.jp/1988/
那須高原 南ヶ丘牧場
〒325-0393 栃木県那須郡那須町湯本579
TEL. 0287-76-2150 FAX. 0287-76-2477(8:00〜17:30 ※夏期延長あり/年中無休)入場無料
http://www.minamigaoka.co.jp/
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